自衛官は、人を動かし、組織を動かすことを生業としています。

特に、陸上自衛隊は、人を育てることが組織を強くすることだと考えています。

教育訓練によって専門的知識や装備品を取り扱う技術を身につけるのですが、その教育訓練を通じて、隊員の資質を磨き、人格を向上させることを重視しています。

まさに人間中心の組織です。

指揮官は、常に勝つことを目標とする欲張りな生き物で、部下がどれだけ素晴らしい仕事をしていても、次の瞬間には、より多く、より速く、より質の高いものを求めます。 

そのために、人を動かす技術を学んで、効率的に人や組織を動かすノウハウを身につけ、教育と訓練で知識や技能を向上させると同時に、人を中心とする組織ですから、精神面での働きを高めるというよりも、現実には、落ち込みやマイナス要因の少ないレジリエンスの強い隊員、部隊をつくるように努めます。

外から見ると、健康で、健全な人ばかりで成り立っているように見える自衛隊も、所詮、社会の縮図でしかありません。

私が防衛大学校を出て、部隊に赴任した当時、お金の計算ができない人、腕立て伏せや懸垂ができない人、半長靴(自衛官が履いている編み上げの革靴)を履くと足が重くて走れないというほど体力のない人、サラ金で借金を抱えている人、浪費癖の奥さんに悩む人など、ありとあらゆる問題を抱えている人がいて、そのなかにビックリするほど優秀な人がいて・・・・、さまざまな人材が混在していました。

この本は、私が自衛隊での部隊指導、隊員指導などの現場で、実践し、有益だと感じたものを中心にまとめたものです。

どのような組織でもリーダーシップを発揮する際、一人ひとりの精神面に対する配慮は必要不可欠なものです。リーダーシップをより効果的に発揮するというよりも、仕事に使命感と生き甲斐を感じさせて、部下に生き生きと自ら働いてもらうことが、指揮官の仕事です。

自衛隊のなかに伝統として蓄積されている智恵や工夫は、多くの人が学ぶ価値のある財産だと思います。

たくさんのことを教えていただいた隊員の皆様方には、心から感謝申し上げます。

多くの方々の参考になれば、幸いです。

主要参考文献

『災害時の「心の手引き』

  (東京都保健局 平成20年5月)

『自殺を予防する~世界の優先課題』  

(世界保健機関 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所   自殺予防総合対策センター翻訳 平成26年9月5日)

『メンタルケアアクションプラン2013-2020』

( 同 平成26年9月9日)

『職場とストレス』

 (世界保健機関)

『心理的応急処置(サイコロジカルファーストエイド:PFA)フィールド・ガイド』

   【世界保健機関、戦争トラウマ財団、ワールド・ビジョン・インターナショナル. 心理的応急処置(サイコロジカル・ファーストエイド:PFA)フィールド・ガイド .(2011) 世界保健機関 : ジュネーブ.(訳:(独)国立精神・神経医療研究センター、ケア・宮城、公益財団法人プラン・ジャパン, 2012)】

『最新 大災害メンタルヘルスケアガイド 不測の衝撃』

(金剛出版)

『防災に関する標準テキスト資料』

(内閣府〈防災担当〉 平成19年3月)

『震災後の心のケアについてのパンフレット』

(熊本県精神科協会)http://kumakoko.jp/kaihou/7/kumamonntomaee.pdf

『逆境・試練を乗り越える! レジリエンス・トレーニング入門』

(宇野カオリ著、電波社)

『はじめてのレジリエンスワークブック 折れない心のつくりかた』

(宇野カオリ監修、滝本繁執筆、すばる舎)

『ミルトン・エリクソン心理療法 〈レジリエンス〉を育てる』

(ダン・ショート、ベティ・アリス・エリクソン、ロキサンナ・エリクソン-クライン著、春秋社)

『パワポーズが最高の自分を創る』

(エイミー・カディ著、早川書房)

『レジリエンスの鍛え方』

  (久世浩司著、実業の日本社)

『なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか』

  (久世浩司著、SB Creative)

『白隠の丹田呼吸法』

  (村木弘昌著、春秋社)

『万病を治す 丹田呼吸法』

  (村木弘昌著、春秋社)

『すべての不調は呼吸が原因』

(本間生夫著、幻冬舎新書)

『和のしきたり 日本の暦と年中行事』

(新谷尚紀著、日本文芸社)

『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』

(三浦康子著、永岡書店)

三浦康子の「行事育」

『なぜ、一流の人はここ一番で脳が冴えるのか』

(菅原洋平著、PHP)

『休む技術』

(西多晶規著、大和書房)

『疲労回復 最強の教科書』

(久賀谷亮著、SBクリエイティブ(株))

『脳からストレスを消す技術』

(有田秀穂著、サンマーク出版)

『「怒らない体」のつくり方』

(小林弘幸著、祥伝社)

『字訓』、『字通』

(白川静著、平凡社)

『自分を強くする』

  (横山信弘著、フォレスト出版)

『完全なる人間 魂のめざすもの』

  (アブラハム・H・マズロー著、誠信書房)

『ピーターの法則〈創造的無能のすすめ〉』

  (L・J・ピーター/R・ハル著、ダイヤモンド社)

『パーキンソンの法則』

  (C・N・パーキンソン著、至誠堂新書)

『どう生きる 心の体操』

  (多湖輝著、(株)高木書房)

『仕事ができる人できない人』

  (堀場雅夫著、三笠書房)

『一流マネージャーの仕事の哲学』

  (西岡郁夫著、日経BP社)

『ほめる達人は人生の達人』

  (有本隆著、グラフ社)

『アメリカインディアンの教え』

  (加藤諦三著、扶桑社文庫)

『成功する人の「語る力」』

  (フィリッピ・コリンズ著、東洋経済新報社)

『自分を強くする 動じない力』

  (荒谷卓著、三笠書房)

『マインドフルネスの教科書』

  (藤井英雄著、Clover)

『サイコパスに学ぶ成功法則』

  (ケン・ダットン+アンディ・マクナブ著、竹書房)

『不安のメカニズム』

(クレア・ウィークス著、筑摩書房)

『あなたの脳のしつけ方』

(中野信子著、青春文庫)

『OPTIONB 逆境、レジリエンス、そして喜び』

(シェリル・サンドバーグ、アダム・グラント著、日本経済新聞社)

『逆境力のコツ』

(植西聰著、自由国民社)

『神道の本義』

(J・W・T・メーソン著、冨山房インターナショナル)

『チームワークの心理学』

(山口裕幸著、サイエンス社)

『チームワークの心理学』

(マイケル・A・ウェスト著、東京大学出版会)

『アドラー 人生の意味の心理学』

(岸見一郎著、NHK出版)

『アサーション・トレーニング 自分も相手も大切にする自己表現』

(平木典子編、至文堂)

『カウンセリングの心と技術』

(平木典子著、金剛出版)

『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』

(小倉広著、ダイヤモンド社)

『幸福論Ⅰ』

(ヒルティ著、白水社)

その他多数

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