2 「出来事」を頭で受け止める

人間の行動は、起きた「出来事」をどのように受け取り、それをどのように考えたかの記憶に左右されます。何も考えずに出来事を受け入れただけのときは、それまでにすり込まれた無意識や固定観念や思考のクセによって出てくる「感情」に流されてしまいます。

本当は「思考」を通じて、「感情」をコントロールできるのですが、何も考えないまま、起きた「出来事」に反応して出てきた「感情」に流されてしまうと、怒り、悲しみ、羞恥心、罪悪感、不安などのマイナス要因が先行して、「行動」にまで影響してしまいます。 

「大変なことになったと思ったが、冷静になって考えて見たら、大したことではなかったよ」とか、「よく考えて見たら、すごく良いチャンスだった」とか、「時間が経ってみれば、何も関係なかったよ。気を病んで、損をした」ということがあります。

どのような方向に流されやすいか、自分の「思考のクセ」を知れば、「思考」をよりポジティブな方向に向けやすくなります。

「思考」というステップを踏む習慣をつけることによって、「出来事」を頭で受け止め、解釈し、「意志」を固めることによって、感情や行動を変えることができるようになります。

「出来事」を一度、頭のなかで受け止めて、無意識や深層心理や自我や既成概念などによって生まれたマイナス感情を取り払い、ポジティブな行動に結びつけるように考え方を整理していきます。

目標に向かって前進することに集中することによって思考の焦点と方向性が明らかになって、問題点を整理しやすくなり、行動を阻害するネガティブ要因の対策、処置が出てくるようになります。

3 思考を整える

ありのままの自分を受け入れる

  • なぜそのように感じるのか
  • 何が問題なのか
  • 何が原因なのか
  • 何が影響しているのか、影響の大きな要因は何か
  • 最悪のケースなのか
  • 自分だけの問題なのか、皆が抱えている問題なのか
  • 誰かに支援を求めることはできないのか
  • 良いところはどこか
  • 新しい実行可能な解決方法はないのか

根拠がないもの、論拠の不適切なものを取り除く

問題を取り組みやすいレベルまで、小さな構成要素に分割する

今すぐにやるべきことから順に、時系列に、優先順位をつけて整理する

幅広く考えて、固定観念を外す

新たな方向づけを見いだす

行動方針を数個の選択肢にまとめる

どの選択肢をとるか、最良の行動方針を決める

実効要領を考える

そして、行動に移ります。分析的に思考を進めていくと、雑多な感情が整えられていくのですが、それは、自分自身の「人格」を成長させ、何かの役に立つ「他者とのつながり」を意識する方向に導いていくことになります。

4 感情を行動に結びつける

このような思考方法を整え、プラス要因となる希望や可能性を見つけだし、それに向かって進む方策を考える、論理的な思考習慣を養うことでレジリエンスは鍛えられます。

考え方の手順は、改めて「問題解決の方法」で述べますが、順序立てて考えることによって、目標を見つけ、内面から強い動機を引き起こし、目標実現に向かって、可能性を組み立てていくことができるようになります。これは、複雑な感情によって分散させられていたあなたの心のエネルギーを一つの方向に集中させていくノウハウです。

過去に起きた「出来事」からプラスになった要因、プラスになる可能性のある要因だけを引き出して記憶に刻むことによって、あなたの感情や行動をよりポジティブな方向に向けることができます。

プラス思考を身につけるゲームだと思ってください。

悲しかったこと、辛かったこと、嫌なこと、怒りを感じたことなどを感じたさまざまな出来事のなかから、喜び、楽しみ、嬉しさ、充実感、幸福感、感謝などのポジティブな気持ちだけを思いだすことを習慣化し、その気持ちを行動に結びつけていくのです。

ここで最も強調したいことは、習慣化は、誰もが身につけることのできるものなのだ、ということです。

バスケットボールは、狭いコートで激しく動き回るなかで、瞬時に判断し、行動しなくてはなりませんので、ハビッツ・ゲーム(習慣化のゲーム)だ、と言われます。練習を通じて、考えずに行動(反応)できるまで習慣化することが必要だということで、それに似ています。

もちろん、専門家(コーチ)の適切なアドバイスがあれば、効率的に身につけることができるのは言うまでもありませんが、あくまで「あなた自身の力に気づきを与え、あなたの潜在能力を引き出す役割」でしかありません。

その気づきを与えて、内面に変化を呼び込むための第一歩が、「自分を知る」ためのトレーニングです。

ポジティブな思考によって行動を呼び起こし、行動することによって、より積極的な感情を引き出していく。行動は、他者とのつながりを強くして、人格の向上や他者のお役に立つ喜びに結びつき、喜びはポジティブな思考を育てます。

「ニワトリが先か卵が先か」は分かりませんが、思考を行動に結びつけることがポイントです。

人間の思考や感情は、その入れ物である身体の調子に大きく影響を受けますから、思考習慣を整えるのと同時に、主観を姿勢、呼吸、食事や睡眠などを整えることで、健全な思考や感情をより養いやすい環境を作ることができるでしょう。