2019年1月、世界経済フォーラムは、年次総会(通称、ダボス会議)開催に先立ち、2019年及び今後10年間に世界を混乱させる可能性のある主要な脅威に焦点を当てた「グローバルリスク報告書2019」を発表しました。

この報告書は、毎年行われる約1000人の専門家と意思決定者を対象にした「グローバルリスク意識調査」結果を集約したもので、世界中の専門家と意思決定者がリスクについて、どのように見ているかを知るのに役立ちます。地政的・地経的リスクから、人々の感情的・心理的緊張の高まりにいたるまで、幅広く、詳細に考察しているので、リスクの相関関係、全体像を把握することができます。

影響が大きいリスクの上位10位は、  ①大量破壊兵器 ②気候変動の緩和や適応へ失敗 ③異常気象 ④水危機 ⑤自然災害 ⑥生物多様性の喪失、絶滅と生態系の崩壊 ⑦サイバー攻撃 ⑧重要情報インフラの故障 ⑨人為的な環境災害 ⑩感染症の広がり 。                 

影響が大きいリスクの上位10位は、 ①大量破壊兵器 ②気候変動の緩和や適応への失敗 ③異常気象 ④水危機 ⑤ 自然災害 ⑥生物多様性の喪失、絶滅と生態系の崩壊 ⑦サイバー攻撃 ⑧ 重要情報インフラの故障 ⑨人為的な環境災害 ⑩感染症の広がり、 が挙げられています。

グローバルリスク報告書は、持続的成長目標(SDGs)の実現が政策目標に取り上げられて以来、次第に注目を高めるようになりました。 多くの研究所や専門家や企業が、世界的な動きを把握し、それに乗って情報を発信しようとしますので、今後、ますますESG投資の判断に影響を与えることになるでしょう。

自然災害に関連する脅威が次第に大きく取り上げられるようになってきたのがこの10年間の大きなトレンドです。 今年の特筆すべき点は、主要国間の地政学・地経学上の懸念の高まりを挙げていることで、自覚のないままに危機に向かって進みゆくことの危険性、高まるグローバルリスクに対して総意をもって対峙する意思が欠けていることに警鐘を鳴らしています。「世界は自覚のないまま危機に突入しているのか」という問題提起への共感が、この報告書を広めているように思います。

ダボス会議に集まる世界の要人たちが、どういう情報に触れているのか、何に関心を持っているのか、を知ることの意義が大きいので、さまざまな研究所などが発信する二次資料を見るよりも、自分で一次資料に触れ、まずは、掲載されている図表とまえがきを読むことをお勧めします。

リスクは、可能性について論じるものです。報告書は、私たちに、自分の周りで起こり得るリスクに自力で対処する「自覚」を求めていると言ってよいでしょう。