最近、この三つの言葉がよく使われますが、その使い方がバラバラで、分かり難いことがあるのではないでしょうか。

「災害」は、自然現象や人為的な原因によって、“人命や社会生活に被害が生じる事態”を言います。「危機」は、“不測の緊急事態で、ある状態の安定に決定的または重大な影響を与える事態”です。

「危機」への対応は日常(生活)を捨ててでも対応しなければ、実害が生じることになりますし、「リスク」へは日常(生活)のなかでの対応になります。 「リスク」は必ず起きるというものではありませんが、リスクに対処しなければ、大きな危機を招き、将来、甚大な災害が生じることが想定されています。「危機」は影響を与える事態、「リスク」は可能性ですから、「管理」できる可能性はある、ということです。 災害の芽は小さいうちに摘むことが必要で、それが災害への予測能力と対応能力を鍛えることにつながります。

「リスク」を売りにして、いかにもリスク管理の専門家が特別な存在であるかのように語る人がいるのですが、本質的に、日常(生活)の中で当たり前に考えなくてはならないものを特別なものにしてしまうことが適切なことだとは思えません。

「危機」は、古いシステムが環境の変化等に対して安定を維持できなくなった際の移行の過程で生じる必然的なものなのだと、定義する人もいます。 「リスク」は、悪いことが起きる可能性を表すものですから、常に、どこにでも存在します。経済や金融ではプラスもマイナスも包含して、「変動に関する不確実さ」を「リスク」と呼んでいます。このように日常生活で変化があるのは「当たり前」。古いシステムが役立たなくなった時に破綻するのも「当たり前」のことなのです。

「当たり前」である「リスク」や「危機」を「当たり前」に考える習慣づけをして、いつでもどこでも何が起きても「当たり前」のように対処して行動できる人や組織や社会が、成長と発展を約束されていると言ってよいでしょう。 世の中の変化、変動幅を予測し、それに備えながら、自分の目標に向かって進んでいくための危機管理、リスク管理の考え方、思考過程のノウハウを普及したいものです。