基礎自治体の訪問した際、重視している災害、防災の重点施策、業務の現状と問題点などの基本的なことについて、雑談的に話を聞いて、全体像を把握しながら、ポイントを見つけて深掘りして質問していく。

災害対策基本法で明確に基礎自治体の責務(使命)が定められているので、住民に直結した防災施策にブレはないと考えて良いと思う。また基礎自治体の性格から、住民の意識が行政に反映して表れると思って話を聞いている。

経験が少ない、それほど全般を観察する余裕がない、目の前の仕事に追われている、そういう人でも、重視施策などは広く住民に関わるものなので、体系的、論理的に質問していくと自然にまとまりのある内容になっていくのだが、大阪市の場合は、思った以上に、把握することが難しかった、というのが正直な感想。

ただ、人口275万人、昼間人口350万人という規模、政令指定都市で24区に住民対策業務が委任されていること、3万5千人以上の市役所職員がいることなどから、他の基礎自治体とは根本的に性格が異なるからだろうか。防災の具体的な住民施策について総論的に、大枠を把握することはできなかった。

なんといっても規模が大きすぎるのだろう。

大阪市は、海抜20m以下の以上の地点がある程度で、ほとんどが平地。したがって南海トラフ地震の津波対策が防災上の第一の焦点。

南北に延びる緑の濃い部分が、上町断層の走る上町台地

平地から大阪湾に淀川、大和川、東除川、神崎川、安威川などが流れ込んでいるので、津波浸水と同時に、河川が逆流し、気象条件によっては、河川氾濫、内水氾濫が同時に起こる可能性がある。

全戸に配布されているハザードマップの裏面には、洪水対策などについて、詳しく記述されている。

また、市街地が発達している上町台地には、北の豊中市から南の岸和田市にかけて、ほぼ南北方向約42kmに渡って上町断層帯が走る。上町断層帯は、東側が西側に対して約3m程度高まる可能性のある逆断層を形成していて、今後30年間に地震の発生する可能性は、我が国の主な活断層の中では高いグループに属している。

この直下型地震対策が防災上の第2の焦点になるが、直下型地震への対策は極めて難しい。

そして、市役所の動員態勢が焦点になるという。非常に人口密度が高くて狭い地域に市街地が発達しているので、市役所の職員自身が被災者になる可能性が高く、しかも交通の途絶、麻痺は避けられない。

そのなかでの動員と住民(避難民)対策。市街地の中心部に、外国人と帰宅難民が溢れる状況になる。

災害が起きたとき、住民が混乱やパニックを起こさないように、対策の方針を定めて、最低限の対応要領や考え方を周知しておく必要がある。

そういう方針的な、基本となる考え方などを聞きたかったのだが、方向性を定めることが難しいのだろう。

話を聞きながら、大阪市と24区との関係、行政上の役割分担などについて、もう少し調べてみないと、確たることは言えないが、今、進められている大阪都構想。

都区行政の危機管理上の機能分担、役割区分を決めるところが、組織作りの骨格にならなければいけないのではないかという気がした。

少し、勉強してみたい。