1 ストレスとは

ストレスは、カナダの生理・病理学者ハンス・セリエが医学に導入した言葉で、専門的には、「寒冷、外傷、疾病、精神的緊張などが原因になって、体内に起こる非特異的な防御反応」と定義されています。

分かりやすく言うと、人間の身体は、外部からの刺激に対して、常に一定の働きをするようにプログラムされていますが、刺激によって体内に起こる変化とそれを元に戻そうとする反応をまとめて、ストレスと呼んでいます。

2 自律神経とストレスの関係

自律神経は、心臓や胃を動かしたり、汗をかいたり、自分の意思とは関係なく自動的に働いて、身体の恒常性を保とうとする神経のことです。

ファイティング・モードや仕事モードの「交感神経系」と、お休みモードやリラックス・モードの「副交感神経系」の二つを切り替えながら、バランスを取って、身体の機能を調整しています。

健康なときは、活動状態のときに交感神経が「やや優位」に働き、リラックス状態では副交感神経が「やや優位」になる状態。これが、理想的な状態です。健康な状態は、自律神経のバランスを保つことによって維持されると言っても、過言ではありません。

そこにストレスがかかると、脳は「交感神経」に命令を出して、血圧を上げたり、心拍数を増やしたり、血管を収縮させたりして、ストレス状況に対応しようとします。

この状態が長く続くと、両者のバランスが崩れて心身の状態が不安定になり、過度のストレス状態は、「過労死」さえも引き起こしかねない状況を招きます。

自律神経の乱れは、「万病の元だ」と言われています。

私たちの身体のなかには、生まれつき備わっている体内時計があります。

日が昇って日が沈む、1日24時間の自然現象に適応するための生体リズムを作りだしているのが体内時計です。体内時計は、人間の約60兆個の細胞一つひとつに存在する時計遺伝子をもとにコントロールされていて、昼間は交感神経を優位に、夜は副交感神経を優位にするように仕組まれています。