5 ストレスは悪いものではない

ストレスについて見てきましたが、ストレスによって交感神経が刺激され、身体の働きが活発になるわけですから、すべてのストレスが悪いと言うことではありません。人が能力を発揮するために、不可欠な働きをするものでもあります。

例えば、災害に遭遇したときに、動悸が激しくなり、カーッと身体が熱くなるのは、人間の力を発揮させる上で極めて正常な反応ですが、何週間、何ヶ月経っても、災害現場を通りかかるたびに同じ状態になる、というのは正常ではありません。

あるいは、流れに乗って何も考えずに過ごしているときにはストレスは生じませんが、何か自分が目標とするものを達成したい、上手にしゃべりたい、上手くやりたい、勝ちたい、良い成果を上げたい・・・と強く思えば思うほど、ストレスはその思いに比例して大きくなっていきます。

そういう意味で、ストレスを感じるのは一生懸命に生きている証拠であり、ストレスは、成長するための糧として与えられたものだと思えばよいのです。

ストレス要因を一つひとつ消していけば目標に向かって前進できるわけですから、緊張状態になっても、落ち着いて冷静に判断できるようにストレスをコントロールする方法を身につけて、前向きに向き合う努力が必要です。

そしてその方法は、さまざまな研究成果で次第に、明らかにされてきています。