新宿御苑駅から新宿三丁目に向かう途中、ふと横道に入って見つけたお地蔵様。大きさにビックリ❢江戸時代中期、京都の六地蔵に倣って造立され、今も都内に五体があるとか。都文化財。

隣には、閻魔大王のお堂。丁度、一ヶ月程前に、誰だかに閻魔さんの話を聞いたところだったので、ご挨拶。電気を点けると姿が浮かび上がったが、防犯対策の金網のおかげで、まるで閻魔大王が幽閉されているようで、世知辛い世の中に、大王もカタナシ。お可哀想に・・・。

ところで、閻魔大王は、死者をさばいて、生前に悪行を成した者を罰する恐ろしい神だと言われている。

昔の母親はよく、嘘をついた子供を叱るときに、「閻魔様に舌を抜かれるよ」、あるいは「閻魔様に舌を抜かれて、地獄に行くよ」と言うことがあった。

これは、母親が、あなたのことは信頼している、嘘をつくようなことをする子じゃないと信じている。嘘をついたのは、その舌が悪いからだ。閻魔様はすごい神様で、何でもお見通しだから、本当は、あなたが良い子だというのは分かっている。

だから、閻魔様は、その悪い言葉を発したのは舌が悪いのだから、その舌を抜いてしまいますよ、痛い思いをしますよ。それでも嘘をつくような子は、地獄に送られてしまいますよ、と叱っていたのだ。

ただ怒って、ペナルティを与えるぞと、威すのではなく、子供に対する信頼を言外に表現していた。

また、「閻魔様が」と言うことによって、誰かに知られたから悪いのだというのではなく、常に、神様や天がちゃんと見ているのだから、自分で自分を律しなければいけないよ、と諭していたのだろう。

そういう意味で、「閻魔様に舌を抜かれるよ」という話は、子供の教育で効果的だ、ということになる。

こういう親子の間であっても、親が子供の本性を尊重する配慮が読み取れる叱り方が一般的であったということは、日本人の受け継ぐべき素晴らしい一つの文化ではないか。

メンタルヘルス上の配慮や、躾のノウハウを教えることが流行っているが、生活のなかにあった善きものの意味を見直して伝えていきたいものだと思う。