トップ・リーダーは、情報が入ってこなくなると、自分が考えていることが正しいかどうかの判断材料や新しい発想を生むきっかけとなるものを得られなくなってしまいます。

できるだけ多くの情報が欲しい。しかも偏りなく、より幅広い情報、自分とは異なる視点からの意見を聞いたうえで、判断を下したい。トップ・リーダーは、そう思うものです。

優れたリーダーが、部下の話を聞く人であるか、自分と違う意見を持つ人や一言居士を側に置いて重宝する人、もしくはそういう情報収集に長けた人を側に置いているのは、情報の必要性や重要性に気がついて、情報に価値を見いだしているからであって、人柄とか人格の問題ではありません。

論理だけにとらわれ、総合判断することのできないリーダーは、情報の価値を理解できないリーダーでもあり、イエスマンを側に置き、自分が欲しい情報、心地よい情報だけを提供する人物を好みます。あるいは自分の考えを補強する情報を欲して、都合の悪い情報は好まず、時として、その情報を提供する人さえ、遠ざけようとします。

感情での判断を優先するリーダーです。

最近、経営企画に責任を持つ最高経営責任者(CEO)の下に、計画執行に責任を持つ最高執行責任者(COO)を置いて、トップの業務を分担して、機能的に企画と執行のチェックアンドバランスを働かせようとする企業が増えてきました。

それとともに、組織の機能(システム)に対応して、企画と執行のツー・トップに円滑に情報を流すため、情報最高責任者(CIO)を置いて、情報の流れをコントロールしようとする組織がでてきました。

しかし、どうもCEOだとか、COO、CIOの肩書だけが先行していて、職名は新しくなったが、仕事のやり方は旧態依然としていてまったく変わっていないという企業が、意外と多いようです。組織の意志決定システムを再構築した結果、必要が生じて、そういう役職が生まれたのではないからでしょう。

そういう企業では、情報の結節点が生まれて、かえって情報が流れなくなったのではないかと思います。もちろん、元々、情報の価値などに関心がなかったからそうなったことは、想像するに難くありませんが・・・・。

組織(システム)構築の基本となる視点は、情報の流れを決めることであり、必要な情報を必要なときに、必要なところへ流れるようにすることです。

それは究極、現場(第一線)のニーズを、いかに円滑に、トップ・リーダーに伝えることができるか、ということに尽きます。

その情報と反対の流れが、指示・命令がほぼリアルタイムで伝わる組織だということになります。それが、強い組織になり得る条件です。

「なり得る」というのは、システムはあくまで情報を流す一つのツールでしかなく、そこで働く人的な要素が決定的な影響を及ぼすからで、組織の強さは、業務要領などの精度や人間力・人間性などによって、決定づけられるということです。

組織作りのときに気をつけなければならない点は、組織機能を細分化すれば細分化するほど、机上での論理的、あるいはITの機能的には説明しやすい、説得力のある形になる反面、人間が最も得意とし、かつ最も重要な部分である、「物事を総合的に判断する」機能が損なわれていくことです。

逆に、(敢えて、こう書きますが)論理を越えて、総合的に判断する能力は、トップ・リーダーの必要不可欠な能力であり、組織機能として重要な役割だということでもあります。これを「直感」と表現する人もいるようですが、単なる「思いつき」のことではなく、あくまで、あらゆる情報を総合したうえで判断する能力のことです。

軍隊組織はこの点でも良くできていて、システムの一つとして、指揮官の総合判断を補佐する機能を持っています。所掌が明確になっていて機能別に業務を担当している幕僚を束ねる「幕僚長」がそれで、幕僚のアイデアを総合判断する役割をもって、トップ・リーダーの総合判断を補佐する役割を果たします。

部下の幕僚が出した結論に「意見を添える」形で、トップ・リーダーに総合判断した意見を伝えるのです。「意見を添える」というところが、立場を弁え、組織機能を損なわずに意見を述べていることの表れです。部下の意見を消してしまって、自分の考えを述べることはしません。

経験から生まれ、組織に根付いた智恵だと思います。

もちろん、立場と階層に応じて他の幕僚にも、「総合判断力」は求められます。

「総合判断力」に優れている幕僚は、自己の職務に関する機能的な分析を踏まえて、上司に(総合判断に基づいて)意見具申する能力を身につけています。総合判断力に欠けている人は、機能的な分析と役割を越えて、意見を述べることはありません。

常に分析的に考えて、総合的に判断する。個人でも、組織でも同じ、これが活かされていないと、組織は硬直化してしまいます。

トップ・リーダーは、組織を動かすために「情報」を求め、組織を動かすために「指針」を示します。

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