レジリエンスについて学ぶ目的は、失敗を怖れて行動回避する癖を直し、失敗して落ち込んだ気持ちから抜け出して、そこから目標に向って前に進むことのできる力をつけることです。

「レジリエンスには、思考の柔軟性が必要な事が分かってきました。つまり、厳しい状況でもネガティブな面だけではなくポジティブな面を見いだす事ができる人が、逆境を乗り越える事ができるのです。」

ポジティブ心理学(心理学者 イローナ・ボニウェル博士)

レジリエンスの、「逆境や困難、強いストレスに直面したとき適応する精神力と心理的プロセス」は、学習や訓練によって高めることができます。

最も良い例は軍隊です。どんな困難にも負けない、レジリエンスの高い兵士を養成することは、軍隊の訓練の本質的な課題です。

陸上自衛隊では、教育訓練をする際、教育訓練を通じてどのような精神要素を学ばせるのかを必ずレッスンプランに明記します。一見、精神要素とは無縁のように思える知識・技能を教育する場合も同じで、教育をする者が教育の場を通じて被教育者に伝えたい精神要素を決めておきます。

教育訓練の場だけではなくあらゆる場で、メンタル面でのレジリエンス教育を意識するように、習慣づけています。

米陸軍では、兵士の精神面でのトレーニングに着目し、レジリエンス・センターという訓練施設を設け、バトルマインド・プログラムなど、さまざまなレジリエンス向上施策を行っていて、近年では、学校や仕事や家庭においても、広く役立つ有益なトレーニングだと認識されるようになってきました。

第一次世界大戦後、肉体的、精神的に傷ついた数多くの兵士の社会復帰のために生まれたリハビリテーションが一般化して広まり、病院の機能回復治療として定着していったのと同じように、いやそれ以上に、レジリエンスは普及していくものだと思います。

ここでは、レジリエンスを構成する6つの要素(自尊感情、感情のコントロール、楽観性、精神的柔軟性、自己効力感、他者とのつながり)を高める方法を紹介し、レジリエンスを高める習慣と考え方を身につけることを目指しています。

子供から大人まで、個人から(トップリーダーを含んだ)組織人まで、幅広い人々を対象にして、日常生活のなかで、ポジティブさを引き出す言葉遣いや所作を習慣づけ、柔軟で積極的な考え方を身につけるための学びと実践を基本としています。

人災から自然災害まで、何が起こるか予想できない、不透明かつ流動的な時代です。

家庭、地域、職場のなかで、ポジティブな生き方を養い、どんな災害にも負けない、レジリエンスの強いたくましい人材を育成したいものです。

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