1 脳内伝達物質

脳内伝達物質、ホルモンは、自律神経とともに、私たちの身体をメインテナンスして体内環境の恒常性を保ち、精神的ストレス、外傷、感染などに対する防御反応に関与し、外部環境の変化にも対応する非常に重要な役割を果たしています。

このうち、ストレスに関係するとされている代表的なホルモンを取り上げます。

ノルアドレナリンは、集中力や緊張感を要するときに役立つ脳内物質です。仕事中や運転中に分泌され、高いパフォーマンスを発揮するために必須の脳内物質で、一瞬にしていろいろな情報を分析し、経験と照らし合わせることによって、最善の行動を選択する「仕事脳」に関わります。しかし、ノルアドレナリンの出過ぎ、出なさすぎは不安や焦り、イライラやうつ病、パニック障害の原因になります。

ドーパミンは、やる気や快楽に関わり、行動を起こすことの原動力になる脳内物質です。

「快楽物質」として知られているドーパミンは、実際には快楽を得る前に機能して、目的達成のために「やる気(意欲、モチベーション)」を引き出す「学習脳」につながります。

「脳内麻薬」とも称され、将来への「希望」や「喜び」、「楽しみ」などへの「期待感」を持つことで、ドーパミンが働いて、気分が盛り上がり、脳は「喜びのサイクル」を学習します。

反対に、ドーパミン機能が低下すると食欲低下・意欲低下が起こり、ドーパミンの過剰な分泌はアルコール依存症や薬物依存症を引き起こします。

セロトニンは、ノルアドレナリンやドーパミンの過剰な分泌を抑え、脳が高い働きができるような状態に、常にバランスを維持し、心の平穏に寄与して、社会性や共感を維持する「共感脳」に関わります。

オキシトシンは、脳内のストレスサイクルにブレーキをかけ、副腎からのストレスホルモン分泌を低下させます。さらに、セロトニン分泌を増やす働きをします。

これらの脳内物質のバランスがココロとカラダの健康に直結するのですが、ストレスを多く抱える現代人は、特に上述の「オキシトシン」「セロトニン」のほかに、「メラトニン」の分泌を意識する必要があります。

そこでこれら3つのホルモンについて解説します。